少年の声

「遺影は大切なものだから」
少し前にテレビでそういう声を聞いた。

最近、休日になるとだらだら過ごしがちである。今一つ気力がわかない。ここ数日、たまたまテレビで見た遺影は大事なものだからと語る少年の姿が気になっていた。

2カ月ほど前に、祖父の遺影が畳の上に落下していた。とりあえず床の間に立てかけておいた。そのままにしておいたことを少年の語りとともに思い出す。

新しい額をホームセンターに買いに行く。ほかに三点分、長押用の額止めとフックと紐も購入した。忘れかけていた祖父の遺影を新しい額に収める。隣にあった祖母の遺影の吊り紐を新しくした。そして昨年来、仏壇近くに立てていた父の遺影を祖父と祖母の間に配置して、長押の上に飾った。先月一周忌を終えたので、ある種の区切りである。

並んだ三つの遺影を見上げると、親子三人がもうこの世にいないのだと改めて思う。もうそんなに時間が過ぎたのかと思う。

そういえば、もう彼岸の入りである。

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4 件のコメント

    • ありがとうございます。私の場合、ほんとうに丁寧に生きられているか疑問ですが、日々を大切にという意識は一日のどこかで、確認していこうと思います。

  • 過去に遺影写真を作っていたので、遺影が大切だと思ってもらってるのは凄く嬉しく思います

    遺影写真は一枚で故人が生きた人生をみんなで振り返るきっかけにもなりますよね

    • そうなんですか。レアなキャリアをお持ちなんですね。製作中はちょっと厳かな気持ちになってしまうかもしれませんね。 確かにその一葉から記憶が辿られていく、特別な写真だと思います。

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