饒舌なる愛馬

夜勤明けというのは、案外眠れない。私は知的障害者の入所施設に勤務している。日が昇る前に90分の休憩があって仮眠するが、朝の勤務時は疲れがピークになる。

早番の職員が来る前に、利用者の身支度や、バイタル測定などの業務がある。最近は社会状況を鑑みてか、全利用者の検温が課せられている。たまに、誰それの着替えが終わっていなかったりすると、お小言をちょうだいする。10のうち9が済んでいても、残った1は目立つらしい。朝の引き継ぎが終わり、職場を後にする時の解放感たるや……

夜勤明けで帰宅するころには、たいてい昼近くになっている。寝てしまう日もあるが、眠れない日が多い。今回もそうだった。そこでバイクのチェーンを手入れすることにした。明日乗るために今日やろうと考えた。

まずはタイヤを手で回しながらクリーナーでチェーンを洗浄する。こびりついた汚れが溶け落ちて、金属の輝きが顔を出す。あわせてホイルの汚れも落す。バイク下部の状態もチェックする。次々とやるべきことが頭に浮かんでは実行するが、当然ながら義務感はない。異常はないかと各所に目を配る。さながらバイクと私の対話の時間である。最後に、チェーン全体に新しいグリスをさした。一連の作業中、私は没頭していた。

集中している時間というのは至福である。厚い本でも面白ければ頁が進む。好きなことというのは、とりあえず始めてしまえばいい。いつの間にか夢中になっている。

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6 件のコメント

  • 分かるなぁー。

    他人A「チェーン綺麗にして何になるん?」
    と言うツッコミが一番違うんですよねー。

    『したいから、する』

      • その【感覚】を大切にしてください。
        全ての取り組みにその【感覚】と遠いか近いかで人生のモノサシを使いこなせるようになってきます。

        めっちゃ順調ですね(^^)

        • ありがとうございます。了解です。この感覚をよすがにしていろいろな局面を判断していきます。

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