夜明けまえがいちばん暗い

疲れる……最近は眠りへの欲求が強く出ている。できるだけ早くに就寝して疲労の解消に身体が努めているような感じである。9月13日のメモに、夜明けまえがいちばん暗いとある。

9月12日は勤務だった。帰宅してから夕飯、入浴の後、ちょっと横になったらそのまま眠ってしまった。日付けが変わった13日の未明に目が覚めた。部屋の灯りもついたままになっている。〈あっ眠っていたんだ〉とここで気づく。睡眠にふさわしい時間帯だが、おかしな話だとわれながら思う。

雨戸も閉めていなかった。何気なく窓から顔を出す。夜気が感じられた。目に入った景色に一瞬季節を疑った。オリオン座が出ていた。オリオンは冬の星座である。きちんと左下に私の好きなシリウスも連れてきている。いくらか冷静さを取り戻して考えると、オリオンの位置が低いことに気がついた。ちょうど正面を向いて視野に収まる高さにあった。だから気づいたのだろう。本格的に夜空に昇る季節をまえにした、序章の時期と今は言えるか。

以前観た映画で「夏にオリオンが見えたら、それは瑞兆だ」という台詞を聞いた。夏とはいえないかもしれないが、まだ昼間には入道雲が空を圧迫して、残暑も厳しかった。肌寒くなるまえにオリオンを見たのは初めてだし、悪くはないことだと受け取っておく。

オリオンの下腹の星雲もよく見える。オリオンの真下にある星の群れが気になった。アプリで調べるといっかくじゅう座だとわかった。ユニコーンである。構成する星々が3等星クラスであるため光が弱いらしい。背景の空の黒さが濃いことにここで気づいた。オリオン、シリウス、ユニコーン、いずれもくっきり輝いている。

東に目をやると三日月が浮かんでいた。その左に、ランデヴーするように一際光る星があった。1等星のシリウスよりも明るい感じがした。にわか天文愛好家の私はここでもアプリを使う。金星らしい。この時間帯の金星が明けの明星と呼ばれる。

なるほど、夜明けまえがいちばん暗い。おかげで輝く星々と出会えた。

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4 件のコメント

  • 幼少期を過ごした環境は星が一面に見える場所でした
    今は月以外ほとんど見えないような夜でも明るい環境で暮らしています
    あの頃に天文に興味を持っていれば、どれだけ幸せだっただろうかと思います
    人間失ってから気付くんですね〜
    ぜひその星たちを眺められる環境をこれからも堪能してください^^

    • ありがとうございます。オリオン座は明るいので、おそらくたいていの場所から見ることができると思います。オリオンを構成する星のひとつ、リゲルは約860光年の距離にあるので、いま目にする光はこちらでいうところの西暦1160年に発した光になります。平治の乱が起きていたころに当たり、若き平清盛が覇を唱え始めたころの光が今届いているわけで、そこになんだかゆたかさのようなものを感じます。

  • 自分には出来ない描写というか表現というか文章で、
    いつも圧倒されています…!
    これからも投稿楽しみにしてます^ ^

    • ありがとうございます。ハッシュさんこそたくさん書いていらっしゃって、その精力的な姿勢を学ばねばと考えています。これからも健筆で。

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