音読の効用

読書に割ける時間は増えたが、どうにも集中できない時がある。これは平時でもあったことだが、コロナ禍の今は、常に不安がどこかにある。

では明るい内容の物語を読めば、ひとときでも今を忘れて、没頭できるかといえば、そうでもない。悲しい時には、明るい歌を聴きたいかと問われれば、そういうわけでもないことと似ている。

やはり、今読みたいものにあたるのが自然だろう。

以前、途中でほっぽりだした、『カラマーゾフの兄弟』を読み進めている。昔と違い読むことに苦痛は覚えないが、気が散ることがある。

そこで試しに音読をしてみた。

“こんなことを言えば、もちろん、俺は何もかもふいにして、彼女は逃げ帰るだろうが、その代わり悪魔的な復讐ができることになるし、それだけでほかのすべてに相当するだけの値打ちはあるというものだ。……中略……あの時俺は彼女を三秒か5秒の間、おそろしい憎しみをこめて見つめていたんだよ、恋と、それも気の狂うほどの恋と紙一筋でへだたっているだけの憎しみをこめてな!“

実際にこの箇所からしばらく声に出して読んだ。誰もまわりにいないところでだが。音読という行為につられて不思議と雑念が消えていく。しばらく続けてから黙読に移っても集中力は保てた。

音読には価値がある。できれば、「100分 de 名著」の朗読のように、自分なりに情感を込めて読むとさらにいいだろう。

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2 件のコメント

  • 「100分 de 名著」何度か見ました!
    朗読はいいですよね・・・
    私も読み聞かせの時間は大好きです!(子どもが静かな時は・・・笑)

    • こんばんは、ありがとうございます。「100分 de 名著」は取り上げる作品の幅が広いので、新しい発見が多いです。hachiさんは読み聞かせが得意そうですね。

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